診療例
ときめく
症状
ことあるごとに、ゲームに登場する異性のセリフを使いたがる。ゲームの登場人物ごときを「さん」付けで呼ぶ極端な特徴を持った異性しか愛せなくなる。愛は相手が告白するものだと思ってしまう、しかも「伝説」の場所で。
病名
ときめき症候群
診察の様子
ワルミネール公
(患者)
「昔の話なんだが、職場でな、『ときメモ』片桐さんのマスコットフィギアのキーホルダーをモニターの上に置いてたら同僚が『ワルさん、何ですか、これ?』って聞いてきたんだ。」

ヤブミネール公
(医師)

「ふむふむ。」
患者

「だからな、『片桐さんだ』って答えた。そしたら『え?知りません。なんですか、それ?』なんて言うんだ、『それ』なんて言うからさ、『それってなんだ!それって!!だいたい『ときメモ』も知らねえのか!』って言ったら皆シ〜ンってなっちまってさ。それからだと思うんだ、皆がよそよそしくなったのは、何でカナ?オレなんか変なこと言ったかな。」
 

エミィ
(看護婦)
「周りがよそよそしくなったのは、あなたがリストラ候補だと、皆、薄々気づいてたからでは?」
 
患者
「ダマレ。」
 
医師
「まあ、まあ。でもね、そりゃあ、マズイですよ、ワルさん。普通 の人は『ときメモ』を知りません。おまけに人形を『さん』付けて呼んでるうえに『それ』ってモノ扱いされたことに逆上している。普通 の人から見た明らかに『変』です。」
患者
「いやあ、でも、ありゃあ惚れるって。いろんなタイプの女の子がいるし、こっちが努力すればさ、ちゃんと応えてくれるんだぜ。ハマるのも無理ないって。」
 
医師
「どう?こんな男性?」
 
看護婦
「ヤバイと思います。現実世界の女性には興味無いんですか?」
患者
「有るさ、バリバリ有るよ。ただ、ああいうドキドキする恋ってのが簡単に楽しめるのがたまらん、しかも学園で。『断られたらどうしよう?』、とか『あ、今のセリフは不味かったかな』とかね。あと、部活、学業、スポーツ、芸術、ルックス、いろんなことに頑張って、いろんな娘と仲よくなることもできるっいうのは、夢が有る。」
 
看護婦
「私は、あの、同じ趣味や関心を持つもの同士が親近感をもって好感度がだんだん上がっていくというのが良いと思います。男性も好きになった娘のために努力するってのは素敵。私は白衣の天使で優しいし、ルックスも抜群。男性なんて選取り見取りですけど、自分を向上させようと努力するヒトに魅かれますね。未熟でも頑張って努力して、どんどんイイ男になって欲しい。」
患者
「でもさ、そんな話は良く聞くけどサ、なかなか難しいもんだぜ。『そんな駄 目なあなたでも好き』っていう女か、『君のためなら頑張る』って思える女が居ればなあ。」
看護婦
「そんなんだからダメなんですよ、もっと現実見なきゃ。」
患者
「うるせえな!だいたい『努力するヒトがイイ』なんて言うけど、てめえは努力してんのか、ゴルア!!」
看護婦
「あら、私には『あなたのためなら頑張る』って私が思わなくても、『そんな君でも好きだ』って言ってくれるヒトが掃いて捨てるほど居ますもん、生憎と努力する必要がありません。でもね、看護婦って大変なんですよ、変な患者や勝手な医者の相手を優しくしないといけないし、夜勤は有るし。ホントは素敵な男性のために努力したいのに仕事でこんなに頑張ってるんです。これは大変な努力じゃありませんか?」
医師
「ワルさん、負けてますよ。って『勝手な医者』って何だ!!」
解説

 コナミの名作恋愛シミュレーション「ときめきメモリアル」にハマるあまり、現実世界の恋愛観にまで影響をうけ、社会生活に支障を来す。20世紀末大流行し、実に、プレイ人口の64%が発症したと言われる。
 
同作品が従来の恋愛系ゲームとは比較にならないほどの多彩 なイベントや印象深い多様な個性の登場人物、主人公のパラメーターの変化に対応した様々な展開などの見事な作り込みが、多くの患者を生み出してしまった。
 また、コナミというメーカーを、かくのごとく異質なメーカーに変える引金の一つとなってしまった罪科は重い?
 近年、多様化するギャルゲー市場の影響で、その症状も多様化している。最近ゲーム医療界で話題に上ったのは、「リーフ症」

処方せん
 一度発症すると、全キャラクリア、或いは惚れ込んだキャラのイベントをすべて見るグッズを集めまくったりする等、満足するまでやり込まないと完治しない。現実の恋愛同様、熱が冷めるのを待つしかない。
 周囲の手厚い看護で「メモラーだから仕方ない」と穏便に済ますのが最も得策であろうというのが現在の一般 的な対処法。決定的なモノは未だ発見されていない。
  気休めに「スターフォース」、「ゼビウス」等、恋愛とは無関係のシューティング、或いは「源平討魔伝」のような孤独な主人公の復讐劇をテーマとした良質なアクションゲームに目をそらさせると沈静化するようだ。 また、この症候群に罹る患者の多くがコミュニケーションに飢えている傾向に有るので、そのような傾向が見えたらネットゲームや対戦ゲームなど他者との関わりが重要なゲームを与えるのも効果 があったとの報告も有る。しかし、そこで失敗するとまた外の世界への不信感が増し、「メモラー」に戻ってしまい、深刻化する場合も有る。
 もっとも、当時発症した多くの患者も現在は無事社会復帰しているようだ。続編においても、さほど深刻な発症の報告も無いようである。
特記事項
 「グラディウス」や「ツインビー」等はコナミを想起させるので絶対に与えてはいけない。以前、韜晦大付属病院でうっかり「悪魔城」シリーズを投与してしまい、より深刻な状況になったという例もある。(だいたい近ごろの悪魔城は...。)
 他の「ギャルゲー」を思う存分を与えて「所詮ゲームか」と気づかせるという過激な療法もあるが、患者によっては逆に「マルチたん、ハ ア、ハア、ハア」という、より一層症状が深刻な状態にもなりかねないので、この療法はお勧めできない。

 


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